サマーウォーズ(2009年)

あまりにも期待しすぎたせいもあるけど、それを差し引いてもこれは浅い。アニメだから設定なんてどうでもいいというなら、それでもいいけどあまりにもそういうツッコミどころが多すぎる。
仮想空間のOZとやらでいうと「アカウント」が社会的にも肉体的にもまるで命のように扱われている。どう考えてもそうはならない。おかしい。大前提となる設定からこの調子で、ほかにも戦いとシンクロさせた野球中継で30安打打たれて延長15回を投げるとかギャグだとすれば面白くないし、真面目に書いたのなら野球の知識が残念すぎる。侘助とヒロイン、おばあちゃんと主人公の花札は一発勝負にみえるのになぜか「こいこい」で戦っている。最終決戦ではOZを乗っ取っているAIと花札で対決。では花札を配ってるのはだれ?
要するに、おそらくあまり詳しくないであろうことを作品の根幹部分に据えてしまっているので、こんなにも薄っぺらく仕上がってしまったんだとおもう。暗号だって何をどうやって解けたことになるのかおそらく製作者側も説明できない。
前半のネットに依存する社会と家族の掟を大切にするリアルな田舎との対比。全然考えさせられないw衛星墜落で温泉出た、なぜかヒロインが急に主人公に惚れるとかひどすぎるとおもうのだけど。
とはいえアニメーションだけなら最先端のクオリティ。宝の持ち腐れとしか言いようがない。それだけの映画だとおもうけどまあ3点。

トワイライト〜初恋〜(2008年)

雰囲気的には王道ラブストーリーっぽいけれど、吸血鬼一家の要素のせいかB級コメディのような感じもある。そこに格闘アクションまで加わって、結果それなりにみられるけど、どれをとっても中途半端っていう映画。
吸血鬼一家はなにをおもって人間生活を営んでるのかよくわからない。べつに働く必要とかないわけだし。そんで眉毛の主人公が人間の女を気にいってしまう。しかし、怪物にはしたくない。興奮すると食べてしまうっていう謎のジレンマと戦いはじめる。われわれ人間にはちょっと何を言ってるのかよくわからない。一方、人間のヒロインは食べられてもいいし、吸血鬼になるのは大歓迎と、こちらもいまいち共感できない。そんでこれは悲劇の恋愛なのですと言われてもピンとこない。
クライマックスは野良吸血鬼との戦いになるのだけれど、これがまたよくわからない。まずなぜ狙われるのか。人間いっぱいいるのに。そして、相手は2人でかつ匂いでどこまでも追ってくると言いつつ、母親の元に戻せば大丈夫と逃がそうとする眉毛。戦った方が速いでしょ・・。父親なんで罵られたのか。一方、野良吸血鬼は母親を人質に取って、バレエ教室でビデオを流すという複雑なトリックを採用wひとりにしたいとしても匂いで飛んでくるのは明らかで何がしたかったのか不明。おまえは速さだけだと言いながらすぐ死んだ。
どこもかしこも納得できないけれど、すばやい動きとか吸血鬼野球とか単なるB級映画なのだとおもえば退屈しのぎにはなる。3点。

プライドと偏見(2005年)

登場人物がごちゃごちゃしていてわかりにくい、昔の話なのに行く先々でやたらと都合よく出会う、ふたりがどうしてお互いを気に入ったのかがわかりにくいなど厳しい評価だけれども、なんとなく見てるぶんにはまあ別にいいんじゃないかなとおもった。
女はみんな金目当てっていうこの映画での前提が普通の感覚だとまず違和感があるし、そのうえでエリザベスだけはそうでなかったみたいな話にしたかったんだろうけど、実際ダーシーが金持ちであることに変わりはないのであまり説得力が無い。また、金目当てであるはずなのに、ダーシーを悪くおもっていたというのも変な話。社交界を冷めた目で見ているのは普通の感覚を持っている=まともだということなので、それを嫌っていたエリザベスはやはり浅はかだったということになる。やりたいテーマはよさげなのに、なにか話の持って行き方がうまくいってない。なので評価が割れてしまう。
けれども、この映画はカメラワークがおもしろい。おおげさな演出というかかなりわかりやすく撮っている。長回しでのキャラの出入りとかもかなり計算されていて、映画のお手本になるぐらい制作陣はがんばっているとおもう。3点。

ボルト(2008年)

ほのぼのするだけのアニメかと舐めてたけど、出会いのシーンのあといきなりアクション映画になって驚いた。そしてそれがテレビの中の話であることがわかり・・と飛ばしていくのに中盤はかなりダラっとした感じがした。そのあたりちょっと退屈だけど、普通の犬だっていいじゃないかっていうのはとてもいい話だとおもう。
世間知らずの犬なのにちょっとワイルドな感じなのでそれほどかわいいなとはおもえなかったけれども、さすがに最後の火事のところでのやりとりはちょっと感動する。犬の忠誠心はんぱない。スーパーボイスが伏線になってるのも映画的でよろしい。
特別すごいなとおもうところはないものの、全体に映画として丁寧だなとおもうし、特に文句をつけようとはおもわない。ありきたりの話でもちゃんと作ればいいものができる。そうやって好みや時代に左右されない誰でもみられるような映画が生まれるのだとおもう。スタッフロールでの2Dアニメがとてもよかったのも評価して4点。

ハンサム★スーツ(2008年)

細かいところを気にするとまったくダメなんだけど、マジックアワーといっしょでここまで荒唐無稽だと逆に気にならない。塚地も大島も意外と好演で、何度もあれ?いまのとこおかしくね?とおもいつつなんとなく許せてしまうそんな映画。
言いたいことは見た目で人を判断するのは心が貧しいってことなのだろうけども、北川景子が実はブスになるスーツを着ていたというオチがなあ。てっきり大島が着てるんだと思ってたから裏切られて悔しくて言うわけじゃないけど、これだと自分が美人だってことを誰よりも自覚してるってことになるんだよね。美人過ぎて誰も自分の本質を見てくれないからブスになりたいって思考は性格美人と言えるのかどうか・・。
さらに、塚地はすべてを捨てて性格はいいけどブスな女を選んだのに、結果として金の斧みたいにそのご褒美として美人がもらえた→ハッピーエンドってことになると、映画全体として美人>ブスっていうのを認めちゃうことになるから、最初にあげたテーマと矛盾する。そりゃまあ容姿は関係無いだろ?っていうのはさすがに嘘くさくて薄っぺらかったんだろうけど、せめて性格か容姿のどっちかあればいいじゃん!ぐらいでまとめられなかったものかとおもう。性格は努力でどうにかできるからね。それに世の中、無駄なあがきなのに容姿に努力を注ぐ人の方が多いし。
何度もみたいとおもうほどの作品ではないものの、気楽にみる映画とすればまあアリじゃないかなとおもう。3点。

おっぱいバレー(2009年)

超映画批評で90点。また騙された。曰く、最後まで生徒たちがバレーに対する情熱に目覚めずにただおっぱいだけを目指し続けるところがいいらしい。さっぱりわからん。そういう展開はベタだってことで裏切ったつもりなのだろうけど、残念ながらそこには誰も注目してないのでうまくない。
要は生徒がまともになって成長するかとかどうでもよくて、この映画をみる側は綾瀬はるかの時点でどう考えても見せるわけないのに、そこをどうやって乗り切るのか、見せないことに誰もが納得してかつ映画としていい終り方なんていう難題をどうクリアしてくれるのかってところに注目してたわけで。そこにみんなの関心があるのに、生徒たちは悔しがってたわけじゃなくて、うそ泣きして綾瀬はるかの胸に飛び込みたかったのでしたーおしまいでは弱いよなあ。
どうせならタイトルに負けないくらいの斜め上の展開にもっていくか、逆に王道のスポ根感動ものに持っていくかしてほしかったなあ。そこが中途半端でオチがあの程度では。。
強豪の一軍が出てきて、いい音楽のなかボコボコにされる演出はエヴァンゲリオンと同じでなかなかよかった。そこだけだな。2点。

崖の上のポニョ(2008年)

人間を一掃して原初の海に戻すってエヴァンゲリオンといっしょだね。深読みさせる要素が多いとことか最後がよくわからないとこまでそっくり。宮崎駿は子供にも直感的に伝える作品を作ってやるとおもったんだろうけど、子供じゃないからその挑戦が成功したのかどうかはわからない。でも、客観的にみれば表向きの少年少女の大冒険はこれといった見せ場もないし、ポニョによって月が接近して、地球が危ない、しかしポニョが人間になれば大丈夫っていうルールがよくわからない。ハッピーエンドだよかったね言われてもみんな置いてけぼりだとおもう。
一方の裏テーマ、死ぬと生まれるの表現は露骨で誰がみても、宗介とポニョの船旅は結婚生活=人の一生をあらわしてるとわかる。子供と出会うのは出産。船が小さくなるのは退職。トンネルのなかでポニョは力を失い、水の中の丸いところで再生する。
ご丁寧に、その場所には行方不明になった母と、足が悪かった老婆たちが元気になって集まっている。普通に考えて天国とか死後の世界なのだなとわかる。みんな死んじゃったけど、ふたりはしあわせに暮らしましたっていうのが裏の結末。実はこっちの方が丁寧でわかりやすいのが失敗してるんじゃないかなとおもう。全然隠れてない。
ポニョはほかのやつらを海の底に沈めてでも宗介に会いたかった。宗介のために人間に生まれ変わってあげたいと強く願ってそうなった。宗介は魚のポニョもちょっとグロい半魚人のポニョもみんな好きだと即答する。子供だから現実を知らないんだな、所詮おとぎ話だなとおもうか、なんていい話なんだとおもうかで評価も変わってくるんじゃないかとおもう。3点。